高齢者と老後。現役ヘルパーが考えたこと。

老老介護の現状

老老介護・・・介護する側が配偶者であったり、高齢化が進んだ事で子供の立場である介護者も高齢化している現状。
介護の負担が大きくなり、家族共倒れの危機に陥ることもあります。
そのようなご家庭に縁があってヘルパー派遣の依頼があり私たち訪問介護員が支援に入っていくわけですが現状は本当に厳しいものがあります。
やはり多いケースがご主人の介護を奥様がしているケースです。
今、介護を必要とする高齢の男性の特徴として奥様しか受け入れられない方も多いのです。
子供には面倒みてほしくない。まして嫁にこんな事をさせられない。
一番安心してすべてを任せられるのは他でもない妻なのです。
そして奥様側からも「お父さんは私でないとだめな人」と思っていらっしゃる方々がほとんどのような気がします。
もちろん、このような方ばかりではないのですが・・・
でも、よく考えてみたら当たり前なのです。
一番信頼があり、自分のどんな姿もさらけだして見せられるのが夫婦なんだと思います。
私たちヘルパーに依頼が来たとき、介護をしている奥様は本当に疲れきっていらっしゃいます。
もう大変だと口にされます。介護を受けている側のご主人も奥様に限界がきていることは分かっていることなので、ヘルパーの受け入れも大抵の方が覚悟を決めておられるか、状況が理解できない状態であるか。
そうしてヘルパー派遣が開始されるのですが、排泄介助や移乗、移動介助、衣類の着脱・・・ヘルパーが行う行動を奥様が目にしておっしゃるのが
「あぁ。そうすればいいのね」
そうなんです。奥様方は介護知識のないまま、自己流で介護をしている方が非常に多いように感じます。

その為、身体に負担が大きくかかり、介護を受けるご主人も身体に負担がかかってしまい悪循環に。
私たちヘルパーは介護の負担軽減だけでなく、介護の方法も伝授します。
在宅生活を続けていきたい。この家で暮らしたい。
この家で看取りたい。自分の手で介護していきたい。家族に介護してもらいたい。
皆さん同じ気持ちです。
ヘルパーは決められた時間の中で支援を行っていきます。
在宅生活を送るためには家族の支援が不可欠です。
しかし主介護者に負担がかかりすぎてしまうのは良くありません。
改善する方法として、介護サービスを利用したり他の家族の協力を得ることも必要です。
介護者側の休息も必要なのです。
自治体や病院、介護施設などで介護技術の講習会も開催されていますので、そのような所で知識を得ることもできます。
正しい介護技術を身につけることで体の負担軽減や時間短縮にも繋がっていきます。
私たちが老老介護の現状をみて思うことがあります。
「幸せだなぁ。」
愛する奥様に献身に介護され、住み慣れた家で暮らすこと。
愛する旦那様に献身に介護され、住み慣れた家で暮らすこと。

愛する家族に介護される幸せって素晴らしいことですよね。
人はある程度の余力を持っていないと心豊かに生活することはできません。
四六時中介護に明け暮れ、体も心もボロボロになった状態では良い介護はできませんし、優しくすることも笑顔になることも難しくなってきます。
自分の大変さを誰かに聞いてもらっていますか。
ヘルパーは本人だけでなく家族の話を傾聴することも大切な仕事の一つです。
人に話すことでだいぶ気持ちが軽くなります。
実際、ヘルパー派遣され介護者の方の表情が明るくなっていくことを感じます。
一人ですべてを抱えることには限界があります。誰かの手をかりて無理なく過ごしていけるといいですね。

 


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