高齢者と老後。現役ヘルパーが考えたこと。

訪問介護士がみた高齢者の食事A

生活する上で「食事」はとても重要なものです。
「年をとると少食になって・・・」と良く耳にします。
確かに食べる量は年齢と共に減少傾向にあります。
大切なことは規則正しく、バランスの良い食事を摂る事にあります。
高齢者の方々は、さまざまな疾病をお持ちの方も多く、病状によっては食事制限のある方もいらっしゃいます。(腎臓病や糖尿病他)
病気で摂食障害になり、過食や拒食になる方もいらっしゃいます。
食事の面で不安や悩みのある方は一度病院受診をされてみることをお勧めしたいと思います。

 

病状に合った食事を上手に摂り入れていきたいですね。
食事といってもさまざまなスタイルがあります。
今日は、私の祖父の話をしたいと思います。
祖父は84歳要介護4で殆どをベッド上で過ごしていました。介護者は祖母。80歳でした。
祖母は祖父の介護をすべて自分で行いたい意思が強く献身に介護をしていました。
そんな祖父母が気がかりで頻繁に訪れていたのですが、ある日の食事の時間。
祖母が準備した普通の食事を介助にて食べていた祖父。
口に入れるなり激しいむせこみがありました。
祖母は背中をたたきながら
「最近、ご飯食べるといつもこうなってね。よく噛んで食べるように言ってるんだけど」と言いました。
その後お茶を勧めましたが少量しか口に含まず上手く飲み込むことができませんでした。
口の中にはいつまでも食べ物が残っていました。
今でこそ、介護従事者で介護福祉士の資格を取得した私ですが当時は専業主婦をしており介護の知識はまったくもっていませんでした。
高齢に伴う機能の低下ぐらいにしか考えていませんでしたし、それが命にかかわる事に繋がるとは到底想像することなんかできませんでした。
その後、祖父は熱発が続き入院となりこの世を去ってしまいました。
死因は「誤嚥性肺炎」

通常口から入った食べ物は食道から胃へ流れていくのですが、高齢に伴う機能低下によって誤って気管から肺に食事が入ってしまうことがありそれが原因で引き起こされる肺炎です。
あの時、私が専門的知識を持っていれば祖父はあんな苦しい思いをしないですんだかもしれない。
今思えば祖母の介護の負担の軽減や祖父の病状にも早く気づいて対応することができたかもしれない。
今になって悔やむ事ばかりです。
だからたくさんの方にいろんな知識を持ってもらいたい。相談して欲しいと思っています。
飲み込みが上手くできなくなってきたら食事の形態を変えることで食べやすくなります。細かく刻んだり、のばしてペースト状にしたり、潰したり。形を崩すことでだいぶ食べやすくなります。
お茶や味噌汁などの液状のものも飲み込みにくいので、とろみをつけると飲みやすくなります。
最近は粉を入れるだけで簡単にとろみがつく製品も販売されています。
何もかも潰したり、いろいろなものを混ぜて潰してしまうことがあるようですが、食事は見た目も大事です。
できるだけ味の違うものは、それぞれで調理し盛り付けることも大切です。
また、パンなどは水分を含むと膨れてしまうので場合によっては窒息の危険性もあります。適度な大きさや形で食べて頂きたいです。
食品にも特徴がありますので、体調にあった食べ方ができるといいですね。
食事自体に気をとられがちですが食事をとる姿勢にも気をつけて頂きたいです。なるべく身体は起こすようにしてください。普段みなさんが食事をとる姿勢を想像して頂けると良いかと思います。
試しに寝たままの状態で食事を摂って見て下さい。きっと食べにくく飲み込みにくいと思います。
自然な食事をとる姿勢がつくれたらいいですね。
お一人で体位がとれない方はクッションなどをうまく利用してみましょう。

そして、もう一つ。お口の中を清潔にしましょう。口腔ケアは食事だけでなく身体機能に非常に大きな関わりをもっていますので常に綺麗な状態を保つことが大事です。
人にとって口から美味しい食事をとることは健康維持でもあり、生活する上での楽しみでもあります。
美味しい食事をいつまでも楽しんでいきましょう。

 


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